2007年11月11日
ウェブ時代をゆく(書評・感想)
404 Blog Not Found:一識者から梅田望夫へ - 書評 - ウェブ時代をゆくしかし、「ウェブ進化論」の大ヒットにより、もはや梅田望夫は「コンサルタント」とか「はてなの取締役」だとかといった「皮」をかぶる必要はなくなった。その皮を完全に脱ぎ捨てて書いたのが本書である。これを褒めずにいられるだろうか。
極東ブログ現在の30代以降の若いビジネスマンが、内的な促しによって生きること、食うこと、そしてそのためにネットの叡智のなかに浸り、自分を賭けてみること、そうしたことに直面したときに、その先駆者から強い援助のメッセージになっている。
と3氏3様の取りまとめ方。しかし、これだけ取り上げられるというところでやはり梅田氏の底力を感じざる得ない。
たしかに、今日現在ではウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)のときほど、新鮮味はないし、ウェブに造詣のない私でも驚くような内容は書かれていない。
それでも私はこの本を食いいるように読む。
能動的に働きかけていれば必ず何かが返ってくる「能力の増幅器」たるウェブの進化を前にしたとき、「働き者」と「怠け者」の差は大きく増幅される。P110
たしかに「好きを貫け」は「好き」がそもそもわからない私たちにはやや強引なように思える。3度の飯よりコード好きな連中を引き合いに出されても困る。
が今回はネット界にとどまらず、ちょっと迷えるビジネスパーソンもエンパワードするに足るビジネススキルについても語られている。
人生のありとあらゆる局面に関するたくさんの情報から、自分と波長の合うロールモデル(お手本)を丁寧に収集するのである。〜そしてなぜ自分がその対象に惹かれ続けたのかを考え続ける〜P120
ここいらあたりは就職活動を始めようかという学生やそれ以外不惑手前のサラリーマンあたりが身につけるべきスキルだろうと思う。
保険業界のアクチュアリーのような、得意だった数学が活かせる仕事、〜中略〜「好き」を貫くため松竹に入社したことに刺激されて〜日本将棋連盟への就職もかなり真剣に考えた。P121
ここいらあたりに人間梅田望夫が出ているし、「好き」を貫くあたりの紆余曲折も十分描かれている。
現実とのぶつかり合いの中で「好き」とは違う次元で就職などの判断を下すことはままある。そんな判断をしても終わりだとは思わないことP144
そう、グーグル、YouTubeを引き合いに出すまでもなく、個人のパフォーマーとして発揮できるようになったのはウェブの進展ゆえである。
今回あえて、DAN氏と池田氏とfinalvent氏から引用をさせて頂いた理由はウェブにおいては私ですらイーブンで書評できるということ。もちろん評価は読み手が決める。以前なら雑誌とかメディアの媒体に取りあげらるだけの知名度が必要だったが、今はそんな必要はない。場合によってはその3氏よりも高い評価を(人によってだけど)受ける可能性もありえる。
と思わせてくれるのが梅田節である。
梅田氏も語るように大きな組織に勤務していたとしてもみんなが手をつないで大きくなれた時代は終わっている。HRMの世界でもより個というものにフォーカスする時代になっている。個はそのパフォーマンスがすべてであり、協調と個のはざまの中で私たちは常にスキルアップを要求される。
という就職氷河期世代の私は思うのであって、ウェブを通じて、3氏をはじめとしたパフォーマーたちに挑む。そんな私たちの背中を押すのが梅田氏である。
なんらかの煮え切らないエネルギーを持つ人が読むには最適な一冊であると思う。
ただ、梅田氏が言う「けものみち」はまったくその通りで歩き出すとすれば、とげが刺さったり、大蛇に襲われたり、田舎ならいのししくらいにぶつかられるのは覚悟せねばなるまい。
あなた用の道が用意されているわけではない。ただ、細い道らしきものが見えるだけである。
そんなことを考えながら田舎で本書を読んでいる。