2007年12月01日
いつまでもデブと思うなよ(書評・感想)
「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61)が実生活に何の役にもたたないのに楽しめたのにたいして、本書は実生活に(デブの方には)役に立つのにおもしろい。
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目次 - 新潮社より
- 序章 一年で五〇キロやせたよ
- 成功するダイエットは楽しい。精神力も我慢もいらない最高の娯楽である。
- 第一章 「見た目主義社会」の到来
- 学歴主義社会は終焉した。見た目重視の現代社会で確実に損をする存在が「デブ」なのだ。
- 第二章 ダイエット手段の格付け
- MBAや英会話にあくせくするくらいならば、まずやせるべきだ。それも楽しく効率よく。
- 第三章 助走・太る理由
- デブの正体。それはカロリーという名の不良債権を増やし続ける多重債務者である。
- 第四章 離陸・カロリーを計算してみる
- 好物イコール高カロリー。ネットを駆使して判明したのは冷徹な事実であった。
- 第五章 上昇・カロリーを制御する
- ついに浮上開始。一週間に一キロの驚異のペースで私は軽くなっていった。
- 第六章 巡航・いろいろやってみる
- 太ろうとする我が体との騙し合い、駆け引きが始まる。勝つのはどっちだ。
- 第七章 再加速・体の声を聞く
- 欲望型から欲求型へ。体が本当に欲するものが何かが見えてきた。
- 第八章 軌道到達・ダイエットの終わり
- 〇・五%の狭き門を突破。自己コントロールできる方法を手に入れた。
- 終章 月面着陸・ダイエットは究極の投資である
どちらが傑作かといえば、やはり私としては「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61)を挙げるが、しかし、どちらがより多くの読者にとって「今、そこにある危機」かといえば、世界征服ではなく自分の贅肉征服であることは言うまでもない。
ダイエット本も自己啓発本もなるほど・納得・その通り!な本が多いけれども継続が問題。
「継続は力なり」はデブならずともわかっている。ではどのように岡田氏は継続をしたか?
「ダイエットのコツは、食事のカロリーを下げて、運動をすればいい」というやつだ。欠点はただひとつ。これを維持するのには最大限の意志を必要とする、というだけ〜中略〜継続の難しさに挫折ばっかりしている人たちだ。P73
で微妙におもしろかったのが、
太っているのは毎日まいにち「太り続けるための行動」を繰り返しているからだ。P90
ちょうど身近におデブがいてその食事を見るシーンがあった。たしかに太る行動をしている。ダラダラと何時間も飲んでりゃそりゃ太るわっとか思って見ていた。
この本は読むまでもなく、レコーディングダイエットは言葉の通り。すべてをレコードしていく。
ちょうど、コンサルするときに・・・「まず正確に記録しましょう」という部分に似ている。
そして身近なおデブも体重計にのることはない(こそっとのっているかもしれないけれど明らかにメタボなくせに体重計にのらない)
経営の芳しくない会社も同様に正確な記録がない。そこに深い思慮はない。単純にメンドクサイのだ。すぐに感覚的になる。だから私は言う「記録をとりましょう」
それはメンドクサイのであって、そのメンドクサさとダイエットの絶妙組み合わせがこの本の肝らしい。記録をとるのが面倒なので(無意識に)食わない。
意志ではなく、知恵で乗り切るのだ P132〜中略〜体は、あらゆる信号を使って、元の太った体を取り戻そうと、欲望や不安をかきたてるのだ。P144
客観的データは力強い励ましになる P148
結構我慢しているじゃないか!ということはさておき、経営指導であっても、後輩の指導であっても
目に見える結果
がなにより本人の励ましになる。それをあらためて知る。
満点とかとれると1000円もらうことよりも中間テストとかで成績があがるのが楽しくなったようだ。
まあ指導するものとしてはできる限りはやい段階で結果を出してあげる必要がある。
痩せたせいか否かかオタキング岡田氏の語り口は軽い。なにより読みやすいし、悲壮感も今となっては笑える感じだ。
まあ本書は3〜5キロくらいとか二の腕を痩せたいとか言う方には向いていない。
っが「デブ」のレッテルがはずれた氏のこの自信にあふれた顔。継続を力にしたモノの表情。
ただ、継続にはやはり山というのはあるようだ。楽だけをしてやせられるものではないらしいが、人はなぜ太るのか―肥満を科学する (岩波新書)以上に実践的な本であることは間違いない。
太っちゃないがはやりに遅れて読んでみましたの1冊。