2008年01月11日
人のセックスを笑うな(書評・感想)
19歳のオレと39歳のユリ。恋ともつかないいとしさが、オレを駆り立てた・・・・美術専門学校の講師・ユリと過ごした日々をみずみずしく
19歳の自分には幸か不幸かユリはいなかったが
「私、君のこと好きなんだよ。知ってた?」
「えーと、知ってたかも。」「授業をしてても、よく見ちゃってたの。いい顔してるなって。あと肩のラインと、肘の形が好き。指の節も」
唐突なはじまりで39歳が19歳に告白する。ユリは既婚。たんたんとしたラブストーリー。
〜中略〜いつの間にか眠ったらしい〜中略〜50歳くらいの男がたっていた。
普通なら修羅場になるところであるが、ユリの夫はなんの違和感もなく、オレを受け止める。最後はオレが好感を持ってしまうくらいに。
結末はさておき、ユリの心情に思いを馳せる。私はそういう人が身近にいなかったからわからないけれども。オレよりもユリに年齢が近くなった私はユリに感情移入する。学校では「ユリちゃん」と呼ばれているけれど、自分という箱と自分という中身のギャップを感じつつおそるおそるオレと付き合う「女性としてのユリ」の気持ち。もっともオレはそんなことには「まったく無頓着」なところがそれをより鮮明にする。
そういう部分を若いナオコーラが記述をしないが醸し出すところが絶妙な作品。
昼休みに読める短編。私の19歳はどうだったか?
追記。
映画ではオレは松山ケンイチ、ユリは永作博美が演じたらしいが、永作博美ではちょっとかわいすぎ。もう少し枯れた感のあるキャスティングならもっといいのだろうと思うけれど。