2008年05月17日
夢をかなえるゾウ(書評・感想)
これから営業に出ようかっちゅう女性が営業ですぐ結果を出す人の話し方 50分の商談で即決!という本をちらちらと見ていた。
飛び込みで50分も話ができれば「まあそこそこ成功でしょ?ってかある程度確率論じゃないかしら?→飛び込み営業で気がつく31のこと」など思いながら自分が営業にはじめて出るとき、「できるだけ楽しよう」なんて思っていた。即決とかなんとか言うよりスムーズにやりたかった。
というわけで夢をかなえるゾウみたいに地味に積み重ねて・・・50分話を一方的に聞くでなく・・・結果はついてくればラッキーみたいな気持ちでいけばよろしかろうと。
本書はある日突然、フツーのボクの目の前にガネーシャ(人間の身体と象の頭、四本の腕を持った大衆神)が現れるところからはじまる。
人間よりさらに俗っぽいガネーシャは面食らうボクにお説教を始める。「だれやあれへんがな。ガネーシャやがな」「タバコ吸うてもええ?」
「ぶっちゃけた話、自分、しょぼいやん?」
その後偉人を引き合いに出し、自分が手がけた武勇伝を語る。
「・・・せやな、ニュートンくんておるやろ?」〜中略〜「だいたい重力のこと教えたったのもワシやがな。あの子気つけへんから、りんご落としたったんや」〜中略〜
それから毎日、ガネーシャは科学から音楽、ビジネス、文学に至るまでの有名人を出しては 課題 をボクに与える。
「せやから靴みがけいうとんねん」
ガネーシャも言っているが、どの自己啓発書もさほど難しいことを書いていない。むしろメタなことが多い。
ガネーシャは一日ひとつ(内部的な)自身でできる課題が与える。
成功本は、その具体的方法より一気に読ませ、その気にさせるかがポイントだ。
甘い物が大好きで、人間よりも怠惰な関西弁のガネーシャが語る偉人のエピソードは本質をつき、かつコミカルに語られ、性別を問わず受け入れられる。このユーモアが本書が爆発的に売れた原因のように思える。
20代〜30代の多くが描く理想としょぼさの狭間でなにかしら思うところがある。
しかし、先輩とかいまいちな上司に「今営業でトップの○○くんおるやろ?あれもワシの一門なんやけどな」といわれてお説教されても(いいことが含まれていたとしても)聞き入れることができない。聞くことはできても腹まで入らない。
本書では「神様やがな」と象顔のおっさんが言うことで説得力を増すが、それ以上に課題を与えるだけというスタイルがボクを突き動かす。
私たちは(学校教育が長いせいか)すぐに正答を探して本を読んでしまうけれども、合格と違って成功に正答はないケースがほとんどだ。本を読んでモノになるのは、本人も忘れるくらいずっとあとのことだろう。
噛み砕いて飲み込んで、消化してはじめてモノになるというか、モノになった頃には茶色で飲み込んだモノが何かわからなくなっている。
つまり、アドバイスとか指導する場合もハナから正答を与えても結局オリジナルでないし、状況が違うので身につかない。飲み込みたいと思わせることやヒントや課題を与えるだけがよいと思える。課題を見つけるところまでいけば大半は解決とも言えるかもし、むしろ、内発的に動機づけすることかできるか否かだ。
終盤、独り立ちしていくボクから徐々にガネーシャは消えていく。ボクも成功にたどりつけるわけではない。それでも前を向いてすすむボクがそこにいる。
営業に関して達人ではない私だけれども「すぐに結果を出す」よりも「いつしか気がつけば」みたいな営業をしてくれればいいなと思う。よいガネーシャとの出会いがあればいいなと。
私はというと、先頃ガネーシャが歩いていたので、「ワシ神様やし、写真とかとらんとってな」と言われたけれども、照れながら
応じてくれたという経験をした。
ちょっと気にかける場所を変えればガネーシャはどこにでもいるものだ。
→by finalvent神は、be-here-now beingだろうな。
あなたも本書でガネーシャと会うことをお薦めする。
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ではガネーシャに会ってきます