2008年05月28日
霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」(書評・感想)
- まえがき
- 第一章 「埋蔵金」とはなにか?
- 第二章 国のお金はどう動くのかー財政編
- 第三章 国のお金はどううごくかのかー金融編
- 第四章 公務員制度改革との闘い
- 第五章 国家を信じるな
- あとがき
埋蔵金男こと著者は財政が逼迫するわが国に向かって、特別会計にある「資産と負債の差額を出せ!」と言った。ゆえに埋蔵金男
日本の財政が逼迫しているのはほとんどの国民が知るところだが、各省庁に割り当てられいる財産から借り入れなどを差し引きするとざくざくと埋蔵金が出てくるという。それまで(特別会計では)財産の状況をあらわす貸借対照表は作らなかったため、指摘するものは皆無だったとか。
ただ、差し引きの財産がすべて現金ではないので、もしかしたらデフレを一層すすめる可能性があるし、そう簡単に出てくるものかしら?とは思うことは思う。ただ(官僚が黙っていて)埋まっている国の財産はあるようだ。そりゃそうだ。予算や金はあるところこそ黙っている。
本書は経済学に詳しくないものにとって親切でわかりやすいを通りこしてざっくり切る。私の知識ではそれがすべて正しいのかわからないが読みやすい。
結論を言うと、固定相場制のもとでは財政政策は完璧に効いて、金融政策は効かない。逆に変動相場制になると、金融政策しか効かなくて、財政政策は効かなくなってしまう。〜中略〜変動相場制に移っているにも関わらず、公共投資をたくさんしたのは、はっきり言ったらどうかしている。(笑)P57
経済学的にそれが正しいのだと思うけれど、90年代に公共投資を大きく抑えれば土建屋さんはもっとはやくたくさん潰れていたように思う。いいのか悪いのかよくわからない(笑)。
それでも→マンデル・フレミング理論でばくっりと説明しちゃう。私のようなトーシローにはわからないなりにわかった気になる。話言葉というのはあるが、その気になるから不思議だ。
本書ではこのほか、道路特定財源、天下り、増税、歳出カットなど政治的にはホットな話題がほとんど取り上げられていて、タイムラグもほとんどない。
なかでも終風翁が指摘するように
高橋の真骨頂は、意外と経済ではなく、この地方分権への情熱にある。なぜなのだろうかと、率直なところよくわからない。
と私も思う。小さな政府を標榜するとすると、道州制とかに行き着くのは必然なんだろう。まとめるまではたいへんだが、まとめてしまえばコストは安くなる。市町村合併も一応布石だったはずだ。
8つくらいと著者は指摘していたが、北海道・東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州とかにわけると大きな差が出るので首都機能(の一部)が移転するかなとか淡い期待も浮かぶが今の世相から当分無理だなと同意見。
さらに著者は辛口トークは続く。
だから道路特定財源なんかでも、東国原英夫さんなどが、地方分権の話を抜きにして、とにかく金をくれ、というので終わっているでしょう。本来なら、地方が道路をもらいたいんだったら、自分のところで税金を課さなければおかしいだよ。P172
すごく正しいとは思う。ただ、地方と都市部の差が開いていることを考えると税源を移譲しても無理だと思う。もちろん一部はなんとかなるかも知れないけれど、日に日に稼ぐ力が弱っている。知事の多くがそうならざる得ない事情もある。
ただ、マスコミの多くが政治的事情、官僚側への配慮によって報道を行うのに対し、歯に衣着せぬ本書の物言いはわかりやすく、すっきりする。
ただ、本書で言われている政策の実現可能性は低いと思うが、大きな流れで見るとほとんどの指摘はそうだったねとなるかも。
埋蔵金のように埋めておいた方がいい議論もある気がしたが、気のせいかもしれない。
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この記事へのコメント
本書を読むと「上げ潮」などキーワードがわかりやすいかも知れません。