aamall

2008年10月07日

すべての経済はバブルに通じる(書評・感想)

すべての経済はバブルに通じる (小幡績著)を読む。経済音痴で、かつ現在の状況を理解したい人にとって、最も適した一冊のように思う。
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  • まえがき
  • 第1章 証券化の本質
  • 第2章 リスクテイクバブルとは何か?
  • 第3章 リスクテイクバブルのメカニズム
  • 第4章 バブルの実態ー上海発世界同時株安
  • 第5章 バブル崩壊 璽汽屮廛薀ぅ爛轡腑奪
  • 第6章 バブル崩壊◆疾こζ瓜暴落スパイラル
  • 第7章 バブルの本質
  • 第8章 二十一世紀型バブルーキャンサーキャピタリズムの発現
サブプライムについては、払えそうもない層が住宅の値上がりを背景にローンを組み、それを証券化することでリスク分散を図る。住宅の値上がりがストップしたろところで(ハナから転売しないと払えないローンだから)崩壊する。そんな認識であったがそれはきっかけでしかなかったことが本書から伺い知ることができる。

リーマンの破産、擬制の終焉。

この度の米国経済の破綻は、信用の収縮と呼ぶべきものではなく、行き過ぎたお金への信仰が、欲望が再生産を繰り返して作り上げた幻影に対するものでしかなかったということが露呈したに過ぎない。最初から信用というようなものは無かった。信仰は、幻影には実体がないと分かった瞬間に一気に萎む。
日本バブルの場合には一応「土地」という信用の母体があった。融資総量規制と土地取引の規制が引き金になったもののバブルがはじけるまでバブルということはわかりにくかった。

しかし、今回のサブプライムショック以前から流れは違うようである。
このような状況においては、プロのファンドマネージャーにとっては、ファンドが大きな損失を出して破綻するリスクも恐いが、顧客が自分のファンドからお金を引き揚げてしまい、ファンドが解散させられていまうリスクも同じように恐い。ファンドマネージャーとして市場からの退場を迫られる、という点では大きな損失を出しても、利益を出せなくても、全く同じなのである。つまり、リスクを取らなければ、損失が出ていなくてもどうせ資金は出て行っていまい、自分のビジネスは破綻していまうのである。P95
素人が専門家としてあてにしていた人々は見事にチキンレースを行っていただけなのである。リスクをポートフォリオで適切に管理してくれているはずの人々はむしろリスクを果敢に取りに行っているのである。
したがって、素人よりもプロの方が、リスクを無視しなければいけないというリスクに直面しており、この罠に嵌るリスクが高い。P95

サブプライムをはじめとしたリスクの高い(リターンの大きい)商品を探すとともに、より大きなリターンを目指しレバレッジをかけ(5%で借り入れをしてでも10%のリターンがあればいい)てまで利益を得ようとする。

ファンドマネージャーは人のカネを預かるだけである。多額の利益をもたらし、多額の報酬を受け取るか?顧客に損をさせて無報酬であるか?当然前者を選ぶ。現物の1億円は相当な額であるが、データの1億円はたったの100,000,000円表示されるだけ。

リーマンをはじめとした投資銀行は住宅ローンを貸すわけでも、回収するわけでもなく、現金すら触らないのであるからその感覚は鈍化していく。この感覚は非常によくわかる。業界が長い人ほど陥る感覚だ。

では、バブルと認識できていなかったのか?これは完全にNOらしい。誰しもバブルと認識できていた。

彼らは利益を最大化するためにギリギリの瞬間までバブルに乗ろうとした。しかし、ギリギリの瞬間まで乗っていれば、降りるタイミングはピンポイントでしかない。バブルが崩壊する直前の瞬間に、降りなければならないのである。P210

金融資本がより大きなリターンを狙ってさまよう以上この流れを止めることはできなかったであろう。それを筆者はキャンサー(癌)キャピタリズムと呼んでいるが、根治するためには一旦崩壊しなければならなかった。みんな降りるの待ちだったのである。

首相になったばかりの人が「実体経済に影響がないように」と言っていたいたけれども、「何かに利益を乗せて転売する」ことが経済であるならば、実体もバブルもない。バブルを含めて経済なのである。その情報に壁が低くなり、心理の冷え込みこそ世界中を覆う景気悪化の要因である。

そのため、「空売り」規制などはさして意味はないと思う。

錬金術はないということを心得るべきであろう。

本書はバブルの心理的側面を知るのに有効であると思う。それこそがもしかしたら経済本質かも知れない。

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1. 景気ってなんだろう(書評・感想)  [ blog50-1 ]   2008年12月11日 19:55
社会人になって以降「景気がいい」と感じたことがない。 &nbsp;景気ってなんだろう (岩田規久男著)を読む。韓リフ先生おすすめ 。世の中はしばらく好景気が続き、バブルが崩壊したとか言っているがいずれも実感がない。景気ってなんだろう??
2. すべての経済はバブルに通じる  [ みかんせい。 [ PM-Tokyo ] ]   2009年01月20日 02:46
すべての経済はバブルに通じる小幡績 なぜ、サブプライムローンは世界的な金融危機を招いたのか?なぜ、サブプライムショックの際に、日本の株価が最も暴落したのか? など、多くのなぜとバブルの関連を著者の視点で分析し、結論を説...

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