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2008年10月17日

景気ってなんだろう(書評・感想)

社会人になって以降「景気がいい」と感じたことがない。

 景気ってなんだろう (岩田規久男著)を読む。韓リフ先生おすすめ 。世の中はしばらく好景気が続き、バブルが崩壊したとか言っているがいずれも実感がない。景気ってなんだろう??


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  • 序章  景気とはなんだろう
  • 第1章 景気はなぜ良くなったり悪くなったりするのだろうか?
  • 第2章 設備投資は南極探検のようなものだ!
  • 第3章 日本の景気は海外の景気とどう連動するか
  • 第4章 お父さんの会社は景気とどういう関係があるのか
  • 第5章 いろいろな価格は景気とどう関係するのか
  • 第6章 景気を安定させる方法はあるのだろうか?
  • 第7章 インフレにどう対応するか
  • 付論   イワタ流景気動向指数の見方

中学生のときに「景気がいいときは日銀は公定歩合を引き上げ、景気が悪くなると公定歩合を引き下げます」と習った覚えがある。

しかし、気がついたら、金利を下げるだけ下げてしまって、(各行がおいてる)日銀当座預金をじゃぶじゃぶにする量的緩和に移行していた。

と思ったら、ジャブジャブにしすぎて量的緩和では企業貸し出しが伸びないと言って、公開市場操作に金融施策は移行した。

現在の中学生はどのように習っているのだろう?金融施策は実質0金利が続く中で教えようがないのではないか?

それ以上にここ数年身近に「景気がいい}を実感できないのはなぜだろう。

しかし、会社は90年台の長期経済停滞期に80年代のバブル期にふくらませた借金の負担にいやというほど苦しみましたから、借金はこりごりです、そこで、設備投資や対外直接投資を利益の範囲にとどめようとします。

そのため、いまや、会社の利益をほどほどに抑えて、稼ぎ出したお金を賃金に回そう、という戦略をとりたくてもなかなかとれないのです。言い換えれば、国内で雇用を増やすよりも、設備投資や対外直接投資を増やして生産能力を引き上げた方が、生産性があがり、会社の収益はいっそう改善すると、会社は考えているのです。P105

つまり、(多くは製造業を中心として海外で稼ぎ)景気は回復していたものの、それが(国内の)賃金にまわらず、(私を含む)しもじもの者は恩恵にあずかれなかったというわけだ。企業業績の回復にはハケンとかパートとか働き方というか人件費の抑制もあったようだし。

好業績をおさめていたトヨタも賃金のアップではなく、あくまで「一時金」として賞与額を引き上げるに過ぎなかった。

「景気がいい」に必要な心理的側面「将来はよくなる」という希望は「景気がよかった」にも関わらず、持つこことがかった。これも企業のせいだけとは言い切れない。「景気がいい!」と思い込んで国民みんなが借金を重ね、さる大国のように消費をすれば景気は浮揚したのだ。

では現在言われている財政出動で景気浮揚はするのだろうか?

公共投資の乗数効果の実証研究によると、公共投資の乗数効果は1.1から1.2程度で2年目以降はそれより小さくなります。〜中略〜公共投資によって、一時的に景気が良くなり、その結果、所得が増えても、家計が消費をあまり増やさない理由といsては、家計は一時所得ではなく、もっと長い目で見た自分の所得を考えて、どれだけ消費するかを決めている、という理由が考えられます。〜中略〜公共投資の効果は景気対策として期待されたほどには大きくないのです。P135

で金融政策は?

〜相当略〜早期かつ十分に金利を引き下げて、金融緩和政策の3つの効果が小さくならないうちに、景気の悪化を食い止める必要がありますP150

げげっ 金融緩和する余地(もう0に限りなく近い金利なので、各国が協調した利下げに参加できなかった)が日本にはもうないじゃいか!景気は良くならないってことか?

本書を読んで、今後もアグレッシブな政策が必要であると痛感させられる。

ここ数年の好景気が実感できなかったように今後の起こるであろう景気変動、とりわけ好景気については実感できないのではないかと考えている。

移民を受け入れ、無責任に子供を作って、バカみたいに借金を重ねて「パー」っと消費するのが景気浮揚には効果的だ。そうやって大国は好景気を支えてきたし、日本が尻馬に乗ってきたのも事実だ。

最終的な責任は誰が取るのか?

それは将来の年老いた自分かも知れないし、もっとあとことは誰も知〜らない。そうやって国を作ってきたではないか?バランスシートが債務超過で、収益性の無い企業は本当は潰れているんだが。

そうやるんでしょ?閣下?やっぱバラマキだよね!代表!

不景気感は失政のせいではないが、利上げのタイミングを逃し放置したままの「日銀の責任は重いかな」と思っている。今回のバブルの一旦を日本が担ったのだと睨んでいる。

もし、実感できる好景気が来るとすればもう今の形はなくなっているだろう。

イエローモンキーなんて呼ばれず、「ヘイ・ブラザー」なんて挨拶をかわして、一日何回かのお祈りが欠かせなくなっているかも知れない。

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1. すべての経済はバブルに通じる(書評・感想)  [ blog50-1 ]   2008年12月11日 19:56
すべての経済はバブルに通じる (小幡績著)を読む。経済音痴で、かつ現在の状況を理解したい人にとって、最も適した一冊のように思う。

この記事へのコメント

1. Posted by 先哲有言   2008年10月18日 06:56
TBありがとうございました。おっしゃるように、06年までの金融政策の結果が賃金上昇に結びつかない企業行動にしかならなかったとすれば、今後も同じようなことにしかならないというお寒い景気状況が続くのかもしれませんね。

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