2009年01月15日
予想どおりに不合理(書評・感想)
「あの人はねえ、靴下すら右から履くか、左から履くか考えてからしか行動をしない人だ」、「なんであそこに座ったんですかねえ」「あれは狙いがあるはずだ」と評されたことがある。
私は(しょぼいけれども)分析を試み、冷静に、合理的な判断をしている。そう思い込んでる。
経済学とか知識なしでも楽しめる。絶対損しない推薦図書。
予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」を読む。
- はじめに
- 1章 相対性の真相
- 2章 需要と供給の誤謬
- 3章 ゼロコストのコスト
- 4章 社会規範のコスト
- 5章 性的興奮の影響
- 6章 先延ばしの問題と自制心
- 7章 高価な所有意識
- 8章 扉をあけておく
- 9章 予測の効果
- 10章 価格の力
- 11章 私たちの品性について その1
- 12章 私たちの品性について その2
- 13章 ビールと無料のランチ
私たちは「自分は損しない行動」をしていると思いガチだ。しかし、本書が明らかにするのは人間が「衝動や感情の虜」であるということ。
中でも性衝動に関する実験は興味深い。
ある男性に自分が性衝動にかられた時を「想像して」物事を判断してもらう。また、実際にエロ本を置いた部屋でオナニーしながら物事を判断してもらう。結果は言わずもがな。オナニーしながらの判断はよりアグレッシブに、コンドームなどせずに性行為に及ぶと判断することが実証される。
男性なら
- キャバクラで予定外に延長してしまう。
ケチな女性でも
- ブランドの粗品をもらうために電車賃をかけて出かけ、結局大きな買い物をしてしまう。
本書は本当に痛いところをつく。
本文中では、「だからこそ人は、自分の弱さに自覚的であるべき」なんて結論だった。 パチンコ屋さんの「玉」という代替貨幣だとか、環境保護みたいな「免罪符」に結びつけた、 「現金」を隠蔽する支払いの手段を見つけられれば、そのコミュニティは成功しやすい。予想どおりに不合理:レジデント初期研修用資料
大学時代フランキーは「もうパチンコ屋いったらな、1000円札ちゃうねん、単なる玉交換券やねん」と自虐の詩をうたっていた。
振り込め詐欺も闇金も、各種博打の類も金の匂いのするところはとかく弱い者を相手にする。
それはある種のリテラシーの差異なんだけれども、そのときの状況に陥った人なら理解できる。また、陥る可能性は誰にでもある。
弱い人間、人間の弱いところにつけこむ隙はいくらでもあるし、手っ取り早く金になる。深夜に流される通販なんかもその場そのときでないと、買わない商品が溢れている。
「80%引きなら買い・・・・」その判断は予想どおりに不合理・・・かも知れない。
予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
著者:ダン アリエリー
販売元:早川書房
発売日:2008-11-21
おすすめ度:
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