aamall

2009年06月10日

契約書の日付についてとか会社の常識的な

契約書を書かせる段になって、「日付欄はあけておいてください」と平気で言う。

契約書を書いた側としてはなんだかしっくりこないまま、「その他の書類は日付を入れてくれ」と言われてなおのこと疑問はつのる。


契約には諾成(契約を結んだ時点で成立する)契約と要物(物の引渡しを伴う)契約がある。

ある人は知ったかで「要物契約だから、(仮にお金なら)資金を交付の日付を入れるべきだ」という。

「じゃあ契約書の記入日と交付日がずれた場合は誰が書くんだい?」と聞くと「それは債権者(社員)が書くのが当然だろう」という。


とりわけ金銭消費貸借というのは難しい。資金の受領書(つまり領収書としての)性質があるので、
資金交付の前でも後でも難しいなあと考えていた。

会社の常識、慣習・慣例によって、日付は社員が入れていいものと思ってしまう。差し入れ方式の場合には、書いた本人が埋めるべきであると知りつつ、疑問をもたない。

判例では、「要物契約の場合でも必ず(資金)交付日を契約書に記入する必要はない」ということ。書いた日付を債務者が書いてもいいし、実務上債務者ではなく、債権者(つまり社員)が後日(資金)交付日を記入してもかまわない。ただし、契約の日付から、実際の交付までが2ヶ月程度までが限界。

となっていることがわかった。

日付を入れずにほっておいて、何年もしてから契約が成立しても(たとえば)保証人などなら困ってしまう。当然だろう。

消費者契約に関してあーだこーだ言われる時代になったが、債務者(契約書)に日付を入れさせないところも多い。これは最終的に債権者の都合のいいように日付を入れるためでもある。

「なぜ日付欄をあけおくのか?
(資金)交付日をなぜ記入しなければいけないのか」に明確に答えられる人はいなかった。調べる人もいなかった。ホワイトカラーと呼ばれる商売にもかかわらず。

そういえば、「印紙は署名者全員で割印をする」どころか、全員でなければならないと教えられた。違和感があったので税務署に問い合わせた。

「署名者全員どころか、割印は必ずしも必要ではありません。ただし、線・文字・消印など
単純な形のものは二度使いのおそれがあるので、作成者でも署名者でも誰でもいいので、印鑑で割るのが好ましいです」

との回答を得た。

ただ、永きにわたる会社の常識によってわかってくれない御仁が多い。


満足な説明もせず、「これは社内規程でございまして」

騙す意図はなくてもそういった担当者はいぶかしんだ方がいいかも知れない。


何年もたって「社内の規程では・・・」と言われてはたまらない。

アカウンタビリティには相応の知識が求められる。

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この記事へのコメント

1. Posted by オガタ   2010年12月17日 11:48
はじめまして。
金融機関に勤めているものです。
契約日の記入について調べていましたら、こちらにたどり着きました。
判例について触れておられますが、もしよければ、どの判例か、または参考にされた文献等を教えていただけませんでしょうか。
当方でも、申し込み日はお客様、契約日はこちらで記入していましたが、今回記入方法の見直しにあたり、参考となるものを探しています。
ずいぶんと以前の記事へのお願いで、お手数とは思いますが、よろしくお願いします。
2. Posted by マリンゾウ   2010年12月18日 22:06
こんばんは。コメントありがとうございます。
1年以上経過しているので、今手元にありませんが、来週には出展を明らかにできると思います。
3. Posted by マリンゾウ   2010年12月20日 18:48
民法587条 要物契約の緩和という点でまず
「公正証書作成の5日後に金銭が授受された事例 大決昭8.3.6」「2ヶ月後に金銭が授受された事例 大判昭11.6.16」でも消費貸借契約が有効であることを認めています。
4. Posted by マリンゾウ   2010年12月20日 18:52
大正11年の判例は、目的物(金銭)の授受は契約(合意)と同時に行われる必要はなく、合意(例えば金証の差し入れ)が失効しなければ目的物の授受が後日なされた時に消費貸借が「完成」するとしています。
5. Posted by マリンゾウ   2010年12月20日 18:56
さて、金証には領収書としての性質があることもご存知でしょう。とすると目的物の授受があった日に契約日を記入するのが必然かと思います。
金融機関に金証を差し入れた場合、受け取りとしてお客様が記入するのが理想ですが、実務的にそれがかなわないケースが考えられます。
6. Posted by マリンゾウ   2010年12月20日 19:04
金融機関の場合、金銭は通帳などを介して入金されますので、金銭授受そのものが問題になるケースはないと思います。
つまり、「日付を誰が書いてもよい」という判例はないものの、金銭の授受が確かになされれば契約書などの日付そのものは問題ではないという判例なわけです。
広義には誰が書いてもかまわないとも解釈できます。

さらにお知りになりたい場合には
金融法務事情 NO1561 P103〜
新金融実務手引 「融資契約」P172〜
などが参考になるかと思います。
7. Posted by オガタ   2010年12月22日 10:50
返事が遅くなり申し訳ありません。
詳しくご説明いただきありがとうございました。
プロパー融資は借主に記入してもらうのですが、保証付融資の場合どうするか悩みました。
さらに、当座貸越契約等はどうなるのか・・・。当事者だから金融機関側でもよさそうだと思うのですが・・・。継続してしらべたいと思います。
書籍のほうも探してみます、ありがとうございました。

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