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2009年06月24日

どこまでやったらクビになるか(書評・感想)

どこまでやったらクビになるかなんて線を探りながらサラリーマンをしているわけではないけれども、一度くらいこれで処分されるかもな と思ったことはある。

どこまでやったらクビになるか―サラリーマンのための労働法入門 (新潮新書)
どこまでやったらクビになるか―サラリーマンのための労働法入門 (新潮新書)を読む。




  • まえがき
  • 1講 ブログ
  • 2講 副業
  • 3講 社内不倫
  • 4講 経費流用
  • 5講 転勤
  • 6講 給料泥棒
  • 7講 内部告発
  • 8講 合併
  • 9講 残業手当
  • 10講 新人採用
  • 11講 セクハラ
  • 12講 過労死
  • 13講 労災認定
  • 14講 定年
  • 15講 喫煙問題
  • 16講 痴漢
  • 17講 妊娠出産
  • 18講 経歴詐称
  • 補講
処分を受けるかはさておき、サラリーマンの多くが一度くらい経験することばかり。法的にどうかより大きな傷になることは間違いない。

就業規則というのは細かく生活態度まで規制していないし、また、それを法で縛るのは無理がある。
「職場の風紀・秩序を乱した」とは、企業運営に具体的な影響を与えるものに限られるものであり、このケースでは〜中略〜二人の交際が会社の運営に具体的な影響を与えたとは判断できないとしました。P35
ただし、これは解雇など懲戒に関するものであり、社内的なんらかの処分はバレた以上避けられまい。

まったく働かない給料ドロボーがいます、会社はこういう人を辞めされることができるでしょうか?P64
どれだけ仕事ができなくても、結論は辞めさせるのは難しいだろう。通常は再教育してその社員の能力を上げる努力をすべきというわけだ。

上場企業で固定給を払っている会社でも歩合給部分が多い会社は容赦なく退職勧奨を行っているようだ。ただ、解雇ではなく、退職という形をとっているだろうから、嫌がらせは相当なものだろう。
一般社員について勤務成績が低いという理由だけでは解雇は有効と認められません。会社が適切な教育訓練を施せば改善が見込みがある場合にはまずそうすべきであり、会社は解雇を回避するために努力を尽くすべきだとされているのです。P70
実際に、改善を促し、叱責を繰り返し、顛末書は一冊の綴りとなり、1年間で流浪の身となり別部署へ放り出される人を見ている。

この人はほぼすべての上司から退職を勧奨されている。しかし、実際には何年にもわたりそのままである。


労働法のキモが2時間でわかる本労働法のキモが2時間でわかる本
著者:石井 孝治
販売元:日本実業出版社
発売日:2007-11-15
おすすめ度:4.5
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無断欠勤などを除いて、客観的事実の判定が難しいことを意味する。10人が10人「彼は職務遂行が困難だ」と判断しても法によれば客観的事実ではない。

もちろん、解雇を乱用すべきではないし、生活もある。何十年勤務してきたものをほうり出すのは忍びない。

というものの、あまりに職務遂行能力が劣る場合には、まわりに迷惑をかけることが多く、私の知っている人物は、(あらゆる部署で)女性社員と必ず大きなケンカをしていた。

ただ、就業規則にはそういった詳細は記されていない。誰とでもケンカするということが(暴力事件でなければ)解雇理由とはならない。

昇進と評価を諦めれば法はほとんどの場合を救うという印象。

本書で示される事案の多くが解雇に関して(少なくとも大きな企業では)難しいこと示唆している。

また、判例の多くが社員側に対して有利なものになっている。
懲戒処分をするためには、たんに犯罪を犯して実刑判決を受けたという理由としては不十分なのです。
社員個別には法で一定の保護がなされているものの、社員全体として守られているか疑問だ。

犯罪を犯して実刑の人物と仕事をともにしていくことを強制しているとも言える。職種や犯罪の内容にもよるが、仕事上「信頼関係」というのは必須となっている。著しく信頼が失われる事案については、法の上で守られていたとしてまわりで働く社員にはつらい。

さまざまな事例で会社員人生は処分されることがある。しかし、それが人間として信頼の失墜につながらないものであることを祈るばかりである。

また、この解雇をしにくい現状というのが時代にそぐっているのか?また一定の安全弁になっているということもまた事実であろう。

そもそも裁判で勝ってもね。

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雇用社会の25の疑問―労働法再入門―
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1. 書籍「どこまでやったらクビになるか」読了。  [ 空飛ぶさかな文芸部 ]   2009年06月24日 20:51
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どこまでやったらクビになるか―サラリーマンのための労働法入門 (新潮新書)作者: 大内 伸哉出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/08メディア: 新書 のっぺらぼうみたいに顔が見えない。 これが労働法という法律の実際である。 個別の事情を見ると実に場当たり的だ。

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