aamall

2009年12月10日

セブンイレブンの罠(渡辺仁著 書評・感想)

どのみちフランチャイズというのは本部が儲かる仕組みを如何に作ることができるかに集約される。

30年一括借り上げ保証だって、「30年間は弊社で借り上げを致します。個々の賃借人との契約はなく、私ども一社が借り受けるわけでございます。10年は決まった家賃をお支払いします。」(でも借主は私どもですから、10年後の家賃は私どもで決定します。後、管理料として毎月○○%頂きます。だから私どもは損を致しません。)

こんな仕組みだ。わかりにくいフランチャイズ。

私の帰り道はたかだか10KMの直線に13以上のコンビニが並ぶ。それも大きな駐車場を有した店舗。

荒地を舗装するだけでも金がかかる。投資という側面で見ると絶対合わないなと思う。



セブンイレブンの罠
セブンイレブンの罠を読む。



セブンイレブンのFCモデルは他のコンビニでも採用されているのだろうと思う。
  1. 売上は毎日本部に吸い上げられる
  2. 原価(仕入価格)が不明瞭である
  3. 廃棄ロスの分は原価に転嫁される
おそらく、ここに集約される。本部は金を吸い上げることで資金運用することができ、原価が不明瞭だから、いくらでも利益を乗せることができる(つまり経営者は損をする)。

そして廃棄ロスは全部食う以外に方法がない。値引き販売は不可。

通常、商売は儲けるために、1.売上を増やす、2.原価(仕入)減らす、3.固定費を減らす、などバランスを取りながら経営していく。

1.売上を増やすについては、品揃えに制限があるから、愛想をよくするくらいしか方法がない。
2.原価(仕入)についてはまったくやりようがない。
3.固定費を減らすには「自分が死ぬほど働く」以外に方法がない。

つまり、本書でも書かれているように、家族で経営させて、死ぬほど(ときには自殺に追い込むまで)働かせるモデルだ。そうして考えられない利益を計上しているという。家族経営にまかせ、法人にまかせないのには狙いがある。


本書を読む限りうまくやりようがない。原価をコントロールできず、品目も選べない。固定費は自分が働くことでしか圧縮できない。地獄で笑顔を絶やせない。

近所で聞いた話では、アルバイトの手配師もいるそうだ。

一方で、一時はやったシュークリーム屋みたいにFCで一攫千金を得た人もいる。FCの仕組みが不十分で、短い流行の間にもとをとったケースだ。

FCも成熟した企業はあの手、この手で経営者から搾取する。当然だ。

選択したのはあなたなのだ。

相手に借金を背負わせるビジネスモデルというのは常に損をしないよくできたモデル。

筋肉バカな経営者であれば、自分がずっとレジに立てばいい。何も考えず、一日20時間、350日くらい働けば、900×20×350=6,300千円稼げる。

つまり、家族4人でもそれ前後という感じか。

あまり、考えず、甘言にのれば、がんばってもむくわれないということが身につまされるのが本書だ。


経営者を募集する広告が我が家に入っていた。その経営者がドミナント(集中出店)で追い込まれることがないように祈る。


にほんブログ村本ブログ 書評・レビューへ




セブンイレブンの罠セブンイレブンの罠
著者:渡辺 仁
販売元:金曜日
発売日:2009-10-09
おすすめ度:5.0
クチコミを見る
セブン‐イレブンの正体セブン‐イレブンの正体
著者:古川 琢也
販売元:金曜日
発売日:2008-12
おすすめ度:4.5
クチコミを見る





トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. フランチャイズ参加は起業ではない:セブンイレブンの罠  [ 本読みの記録 ]   2010年04月14日 23:19
セブンイレブンの罠作者: 渡辺 仁出版社/メーカー: 金曜日発売日: 2009/10/09メディア: 単行本 Q.セブンイレブンは誰から儲けているのでしょうか? A.フランチャイズオーナーからです。お客さんは関係ありません。 これが筆者の主張だ。 本書は、セブンイレブンのフラン...

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 

はてなブックマーク
Livedoorクリップ
0 Buzzurl