aamall

2010年02月06日

7割は課長にさえなれません(城繁幸著 書評・感想)

今年の昇進試験はかなり人数を絞るそうである。

もうずいぶん前から減らすべきだとの共通認識があったけれども、年功制を維持したり、各人の思惑があったりしてなかなか減らすことができなかった。

筆者の指摘を待つまでもなく、当社では課長になれない人が多くいる。それでも温情で課長なみの待遇を得ている。

本書は20代〜30代に向けて書かれているが、今後規模の拡大は難しいだろうから、40代でも課長になることは難しくなっている。

その原因は年功序列、つきつめれば年齢給が問題であるという。

7割は課長にさえなれません (PHP新書)を読む。



ほんの10年間まで年功序列というか、一定の年齢序列を維持することができた。

それを維持するため、課長の前のポストにつく人が多くなった。一方で、課長へのステップだったそのポストから上がる人はめっきり減った。

増えているのは部下なし店長、、名ばかり管理職ばかりだろう。


私自身、管理職でありながら、自分よりはるか高い給料をもらう50代の部下をかかえていた。これは結構悲しい。

右肩上がりの給料は一定の生活の安定をもたらす。家庭を持ち、子供を持ち、右肩上がりの組織拡大のもとでよい方法であったと思われる。

しかし、ライフスタイル変化もあるし、なにより企業の拡大、利益の増大は難しくなっているので、年功序列は難しくなる。

年齢給は中途採用すら拒む。30歳1年目と30歳8年目が同じような給料になってしまうからだ。筆者は年齢給が雇用の流動化を拒んでいるという。

浪人した人は初任給が高くなる。定年も短いから生涯賃金は同じようなものだと納得させる。

いや、それはどうなのか。

同一労働、同一賃金は平等に見える。しかし、年齢給ほどわかりやすくない。労働という単位をこれまで曖昧にやってきたから今さら難しい。

私は先送りする気はないが、ゆっくりとした変革を望む。自分が年をとってきたからではなく、年収の大きな変化はモラールの低下を生む。生活水準はなかなか落とせるものではない。

また、仕事の細分化や定義には時間がかかる。

そもそも、誰もが課長になれた時代があったならその方が不思議だ。マネジメントよりも単独で仕事をするのが向いた人もいる。

やっぱり、キャリアパスは少なくとも2本は必要だと考えている。人を動かし利益を上げるものと、単独で利益を上げる人。

そうでない人に高い給料を払う余裕はどの企業にもないはずだ。

とはいえ、雇用も維持したい。それなりの仕事にそれなりの給料。それなりの生活。

企業に公共的責任があるならば、そういった流れを早くつくり、準備してもらわなくてはいけない。

今後、若い人は会社を踏み台にして何かをつかまなくてはいけないと思う。雇用が流動化したとき、その会社でしか通用しないスキルはつらい。どのような企業でもそれは可能だと考えている。

ぼけっとしていては稼げない社会はすぐそこだ。悲観的な見通しにも見える本書であるが、目上の課長になれていた人が課長になれないのだ。


7割どころか9割はなれないことを心にとどめおくべきだ。

とはいえ、年功序列が崩れれば、あなたにチャンスはやってくる。ますます個人の力が問われるだろう。


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