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2010年02月04日

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト(酒井穣著 書評・感想)

当社では、1〜3年目の社員の育成が急務となっている。

昔は「3年や5年は会社にとっては損失(投資)だ」なんて言われていた。

今は1年目だろうと3年目だろうと人員1は1として扱う(10年前は1年目は0,5くらいの扱い)ため、採用数が多かった彼らをきちんと育成するか否かで、これから5〜10年の当社の命運が決まるだろう。

それは私を含めた管理職の責任の大きさを意味する。

ただ、育つものは育つけれども、そうでない人はどう働きかけてもそうならない。

育つのを阻害しない、育つだけの環境を作るのは、先輩の役目であり、組織の使命である。

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)
「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)を読む。



はじめての課長の教科書の著者が、「日本で最も人材を育成する会社」をめざして参画している会社での制度設計を語る。

制度設計をする上で注意しているのが、測定可能な指標を用いるという点だ。

一部抜粋すると
  1. 年間教育予算
  2. 教育予算の対人件費比率
  3. 従業員一人当たりの年間読書量
  4. 従業員一人当たりの年間教育予算
  5. 従業員一人当たりの年間教育時間
  6. 従業員一人当たりの年間キャリア・カウンセリング時間数
  7. 従業員一人当たりの人材育成担当者数
  8. エグゼクティブの年間コーチング時間数
  9. 部署別の離職率
  10. 内部昇進率
指標のあり方については、業種や規模、予算などによってさまざまであるが、育成ということに関して 測定指標をもたない企業 というのは多いのではないか。

本書にのっていて当社で行っていた方法としては、屋根瓦方式があった。研修を受けた人材が次年度の講師となるというものである。人に教えるという行為は自分が学ぶ上でもっとも重要な要素であると考えたからだ。

研修を行っても、受講者の満足度や希望、不満を吸い上げるということを無意識にか避けているように思う。お仕着せのやりっぱなし。

社内研修のアンケートについては「記名か?無記名か?」というので上司と議論になったことがある。私は無記名、ただし、入社年次だけ書かせるという意見だった。(研修の難易度を年次から推測するため)

上役の批判は記名では書きにくい。しかし、研修をよりよいものにするためには書きにくいことを書いていただかないくてはならない。講師の質を高めるには何よりの材料だ。

筆者の言うとおり、OJTという名のほったらかしが多い。研修計画を提出させるのが研修担当の仕事。そこにどんな不満があるのかは問わない上から目線。

早く育つことを願うなら、その環境を構築しなければならない。

よほど強い種でなければ、荒地には花を咲かせない。

フリービットでは、、毎月1万円を上限として社員が購入した書籍の半額を補助しています。〜中略〜補助の支給を受けるには、社内ネットに書評を公開しなければいけないことになっています。P176

こういう仕組みを作っていきたいなあと思う。育つとはあくまで自発的なものである。それを促す、後押しする仕組み。

社内の仕組み、ルールを熟知するだけでお客様を満足させることは無理だ。

近年求めらる人材とは、相手の話を聞く力、それを理解するための知識ではないか。

若者に欲がないなんてテーマの文章を見るけれども、スムーズに仕事を行う、さまざまな知識でお客様を満足させる先輩にはあこがれるものだ。もちろんそうでない人もいるけれども、押しなべてというのは暴論過ぎる。

軽やかに走る草食系だっているのだ。

問われるべきは育成できたか?ではなく、私たちがどれだけ育成に取り組んだか?だと本書を読んで考えた。測定されるべきはまずは管理職のふるまいであろう。


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1. 「最近の若者はダメだ」と言わないために  [ blog50-1 ]   2010年07月26日 19:49
ここのところ、最近の若者との接点が多い。と言っても学生ではなく社会人1年目〜5年目というところ。だから、最近の若者の平均的像まではわからないし、接点が多いと言っても10人までの話。私の同世代ですら表現は違えど「最近の若者は考えていることがわからない」とかダメ....

この記事へのコメント

1. Posted by 酒井穣   2010年02月04日 08:09
こんにちは。ご紹介いただいた本書の著者です。まずは本書のお買い上げ、ありがとうございます。また嬉しい書評を頂戴し、ありがとうございました!

「早く育つことを願うなら、その環境を構築しなければならない。よほど強い種でなければ、荒地には花を咲かせない。」というご指摘、まったくその通りと思います。

今後ともよろしくお願いします!

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