2010年02月08日
若い中小企業を読みとく10の視点 展望と課題
閉塞感の漂う不況下で、起業して一定の雇用をしている若い経営者は尊敬に値する。
地方に限らず起業は少ない。さらに若く一定の規模を有する企業は少ない。
経営者も20代、社員もほとんどが20代という会社を訪問した。
きれいなオフィス、活気ある社員などまばゆいばかりに魅力的で。それゆえ、明るい展望を描いてしまうと同時に、今後の課題を検討したい。
Googleの全貌
著者:日経コンピュータ
販売元:日経BP社
発売日:2009-12-10
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地方に限らず起業は少ない。さらに若く一定の規模を有する企業は少ない。
経営者も20代、社員もほとんどが20代という会社を訪問した。
きれいなオフィス、活気ある社員などまばゆいばかりに魅力的で。それゆえ、明るい展望を描いてしまうと同時に、今後の課題を検討したい。

著者:日経コンピュータ
販売元:日経BP社
発売日:2009-12-10
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その企業は大半が20代であり、はやい者でも10時くらいまでは働いている。働かせられているといった感覚はなく、「そうしたいからそうしている」という感じだ。
雰囲気も全体的にフラットだ。もちろん、役職は多少ついているだろうけれども、同世代ということはそれだけで自由な社風を担保する。業暦が短いから当然と言えば当然だが、古い企業がどんな制度を作ってもこういう社風は作られない。
社長をはじめとして求心力があり、社員も若いから柔軟性を持ってさまざまな業務に取り組むだろう。一定の業績を上げることができれば、それこそGoogleのように新たな業務を開拓するだろう。
展望は明るい。
しかし、組織が拡大し、業暦を重ねるだけ課題もあらわになる。現時点で課題を感じているかは別にして。
業暦の長い企業は多くの制度を持っている。制度を持っていながら、職務能力、人間性などを長い時間をかけて観察する。優秀な社員は時間をかけて認識される。また、管理職であれば、そこに望まれる能力は(言語化されているか否かは別にして)決まっている。昇進するとき、その人の能力はある程度明らかになっている。
一方、若い企業は四半期、1ヶ月で業績を見て処遇を決めるけれども、例えば管理職としての能力はやらせてみなければわからない。また、管理職に望まれる能力そのものが決まっていない。理想的な能力は言語化できるけれども、現実に沿っているかどうかはやらせながら考えなくてはいけない。勤続年数を考慮するならば、ある時期一気に来ることも想定しなければならない。
それまでフラットでよい社風が妬みなどに裏返る可能性を秘める。
現在は同一労働、同一賃金に近い状態になっているとしても、それは同じ群としては容易であるだけだ。年代、役職にばらつきが出てきたときには対応を迫られる。
企業はずっと若いままいられない。拡大をすれば、それに伴う組織化が必要になる。それまで必要でなかったルールを強いられる。
しかし、株式を上場するコスト、体制作り、維持コスト、ステークホルダーの対応など、これまでやる必要のなかった莫大な業務が発生する。まして市場が冷えているから、思うほど資金が集まらないばかりか、集めた資金を有効に投資しなければステ−クホルダーから厳しく追及される。安易な投資が成功する可能性は低いだろう。
成功者の告白―5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語 (講談社プラスアルファ文庫)
著者:神田 昌典
販売元:講談社
発売日:2006-09
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さまざまな課題があるようにも見えるけれども、伝統的な安定した業界では自分の力が発揮されるシーンは少ない。じっとチャンスが来るまで粛々と努力必要がある。時間をかけなければ実力を認めてもらえない。
一方で、若い中小企業は好むと好まざるとに関わらず実力を試される機会は多いだろう。
制度面の充実はこれからすればいい。これまであるものの改善の方が簡単だけれども、社風とか目に見えないものが大きく邪魔をする。年寄りは変革を拒む。それを作っていく充実は感じられるはずだ。努力は新興企業の方が必要だろうけれども。
こういった企業が新しい、現代に即した組織像を示していくことを望む。
これまで、一定規模になると様々な問題が顕在化する企業を見てきた。そういう壁を越えてほしいと思う。
大志を抱くならば、若い企業に就職する方がいいのかも知れない。安定した会社・・・なん言っても10年後にはどうなっているかわからないのだから。

世界を制した中小企業 (講談社現代新書)
著者:黒崎 誠
販売元:講談社
発売日:2003-12-20
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中小企業は進化する
著者:中沢 孝夫
販売元:岩波書店
発売日:2009-05
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雰囲気も全体的にフラットだ。もちろん、役職は多少ついているだろうけれども、同世代ということはそれだけで自由な社風を担保する。業暦が短いから当然と言えば当然だが、古い企業がどんな制度を作ってもこういう社風は作られない。
社長をはじめとして求心力があり、社員も若いから柔軟性を持ってさまざまな業務に取り組むだろう。一定の業績を上げることができれば、それこそGoogleのように新たな業務を開拓するだろう。
展望は明るい。
しかし、組織が拡大し、業暦を重ねるだけ課題もあらわになる。現時点で課題を感じているかは別にして。
- 社長の代わりがいない
- 労働時間が長い
- なめられる
- 評価や役職の問題
業暦の長い企業は多くの制度を持っている。制度を持っていながら、職務能力、人間性などを長い時間をかけて観察する。優秀な社員は時間をかけて認識される。また、管理職であれば、そこに望まれる能力は(言語化されているか否かは別にして)決まっている。昇進するとき、その人の能力はある程度明らかになっている。
一方、若い企業は四半期、1ヶ月で業績を見て処遇を決めるけれども、例えば管理職としての能力はやらせてみなければわからない。また、管理職に望まれる能力そのものが決まっていない。理想的な能力は言語化できるけれども、現実に沿っているかどうかはやらせながら考えなくてはいけない。勤続年数を考慮するならば、ある時期一気に来ることも想定しなければならない。
それまでフラットでよい社風が妬みなどに裏返る可能性を秘める。
現在は同一労働、同一賃金に近い状態になっているとしても、それは同じ群としては容易であるだけだ。年代、役職にばらつきが出てきたときには対応を迫られる。
企業はずっと若いままいられない。拡大をすれば、それに伴う組織化が必要になる。それまで必要でなかったルールを強いられる。
- 失敗をしていない
- IPOなど魅力のある提案
しかし、株式を上場するコスト、体制作り、維持コスト、ステークホルダーの対応など、これまでやる必要のなかった莫大な業務が発生する。まして市場が冷えているから、思うほど資金が集まらないばかりか、集めた資金を有効に投資しなければステ−クホルダーから厳しく追及される。安易な投資が成功する可能性は低いだろう。

著者:神田 昌典
販売元:講談社
発売日:2006-09
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さまざまな課題があるようにも見えるけれども、伝統的な安定した業界では自分の力が発揮されるシーンは少ない。じっとチャンスが来るまで粛々と努力必要がある。時間をかけなければ実力を認めてもらえない。
一方で、若い中小企業は好むと好まざるとに関わらず実力を試される機会は多いだろう。
制度面の充実はこれからすればいい。これまであるものの改善の方が簡単だけれども、社風とか目に見えないものが大きく邪魔をする。年寄りは変革を拒む。それを作っていく充実は感じられるはずだ。努力は新興企業の方が必要だろうけれども。
こういった企業が新しい、現代に即した組織像を示していくことを望む。
これまで、一定規模になると様々な問題が顕在化する企業を見てきた。そういう壁を越えてほしいと思う。
大志を抱くならば、若い企業に就職する方がいいのかも知れない。安定した会社・・・なん言っても10年後にはどうなっているかわからないのだから。


著者:黒崎 誠
販売元:講談社
発売日:2003-12-20
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著者:中沢 孝夫
販売元:岩波書店
発売日:2009-05
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