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2010年02月08日

若い中小企業を読みとく10の視点 展望と課題 

閉塞感の漂う不況下で、起業して一定の雇用をしている若い経営者は尊敬に値する。

地方に限らず起業は少ない。さらに若く一定の規模を有する企業は少ない。

経営者も20代、社員もほとんどが20代という会社を訪問した。

きれいなオフィス、活気ある社員などまばゆいばかりに魅力的で。それゆえ、明るい展望を描いてしまうと同時に、今後の課題を検討したい。



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その企業は大半が20代であり、はやい者でも10時くらいまでは働いている。働かせられているといった感覚はなく、「そうしたいからそうしている」という感じだ。

雰囲気も全体的にフラットだ。もちろん、役職は多少ついているだろうけれども、同世代ということはそれだけで自由な社風を担保する。業暦が短いから当然と言えば当然だが、古い企業がどんな制度を作ってもこういう社風は作られない。

社長をはじめとして求心力があり、社員も若いから柔軟性を持ってさまざまな業務に取り組むだろう。一定の業績を上げることができれば、それこそGoogleのように新たな業務を開拓するだろう。

展望は明るい。

しかし、組織が拡大し、業暦を重ねるだけ課題もあらわになる。現時点で課題を感じているかは別にして。

  • 社長の代わりがいない
新興の企業というのは、社長の才覚に頼っている部分が大きい。大きな企業は社長が変わってもそれを支える人間がいるから、すぐに企業が傾くようなことはない。若い企業はそれだけ人材のバッファ、組織としてのバッファを持っていないから業績を左右してしまう。Apple、ユニクロですら社長を戻す必要があったくらいだから、これが最もリスクファクターになるだろう。

  • 労働時間が長い
今後ライフスタイルの変化で結婚しない人、子供を持たない人が多くいていくらでも働ける人はいるかも知れないけれども、全員が20代ということは10年後は30代が多くなり、20年後は40代になっていく。そこではライフスタイルのばらつき発生し、全員が10時、12時と働けなくなってくる。長期雇用を前提とするならばここいらあたりの是正が必要だ。ある年齢になれば生活習慣病とか出てくる。ここいらが是正されていない企業は散見される。

  • なめられる
どれだけ濃密な時間を過ごしても年齢を問われたとき、年長者は経営者を含めなめてくる。クレーマーに対応する場合、年長者が頭を下げればすむという場合も少なくない。営業マンでも同じスキルであれば年長者を信頼する傾向がある。実業界はまだまだ年寄りが力を握っている。三木谷さんはおやじ殺しなんて噂があったけれども、IT系では比較的年長であったことが有利に働いたであろう。これは知識や努力だけではあがなえない。信頼の醸成は時間をかけなければできないケースも多いのだ。

  • 評価や役職の問題

業暦の長い企業は多くの制度を持っている。制度を持っていながら、職務能力、人間性などを長い時間をかけて観察する。優秀な社員は時間をかけて認識される。また、管理職であれば、そこに望まれる能力は(言語化されているか否かは別にして)決まっている。昇進するとき、その人の能力はある程度明らかになっている。

一方、若い企業は四半期、1ヶ月で業績を見て処遇を決めるけれども、例えば管理職としての能力はやらせてみなければわからない。また、管理職に望まれる能力そのものが決まっていない。理想的な能力は言語化できるけれども、現実に沿っているかどうかはやらせながら考えなくてはいけない。勤続年数を考慮するならば、ある時期一気に来ることも想定しなければならない。

それまでフラットでよい社風が妬みなどに裏返る可能性を秘める。

現在は同一労働、同一賃金に近い状態になっているとしても、それは同じ群としては容易であるだけだ。年代、役職にばらつきが出てきたときには対応を迫られる。

企業はずっと若いままいられない。拡大をすれば、それに伴う組織化が必要になる。それまで必要でなかったルールを強いられる。

  • 失敗をしていない
業暦の長い企業は必ず、企業を揺るがす失敗をしている。規模を拡大させていけば必ず失敗を犯す。失敗から復活するだけの経験をしている。小さな失敗を積み重ね、それを組織の糧にできるか?改善というのは失敗の修正である。

  • IPOなど魅力のある提案
新興企業には必ず「上場を目指しましょうよ」なんて甘言を持ってく者がいる。上場すれば、創業者に大きな利益が入る。社員を集めるのは間単になり、取引先からの信頼度もぐっと上がるだろう。

しかし、株式を上場するコスト、体制作り、維持コスト、ステークホルダーの対応など、これまでやる必要のなかった莫大な業務が発生する。まして市場が冷えているから、思うほど資金が集まらないばかりか、集めた資金を有効に投資しなければステ−クホルダーから厳しく追及される。安易な投資が成功する可能性は低いだろう。


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さまざまな課題があるようにも見えるけれども、伝統的な安定した業界では自分の力が発揮されるシーンは少ない。じっとチャンスが来るまで粛々と努力必要がある。時間をかけなければ実力を認めてもらえない。

一方で、若い中小企業は好むと好まざるとに関わらず実力を試される機会は多いだろう。

制度面の充実はこれからすればいい。これまであるものの改善の方が簡単だけれども、社風とか目に見えないものが大きく邪魔をする。年寄りは変革を拒む。それを作っていく充実は感じられるはずだ。努力は新興企業の方が必要だろうけれども。

こういった企業が新しい、現代に即した組織像を示していくことを望む。

これまで、一定規模になると様々な問題が顕在化する企業を見てきた。そういう壁を越えてほしいと思う。

大志を抱くならば、若い企業に就職する方がいいのかも知れない。安定した会社・・・なん言っても10年後にはどうなっているかわからないのだから。


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