2008年01月28日
合コンの社会学(書評・感想)
目次
- 第一章 出逢いはもはや偶然ではない
- 第二章 運命を演出するために
- 第三章 運命の出逢いは訪れない
- 第四章 運命の相手を射止めるために
- 第五章 運命の出逢いを弄ぶ
- 第六章 それでも運命は訪れる
- 第七章 偶然でなくても、突然でなくても
- 補論 合コン世代の仕事と恋愛
- おわりに
紹介であっても合コン経由なら恋愛結婚であり、お見合い結婚とは異なる。世話を焼く人の減少とか、結婚に対する価値観の変容とかがあって、合コンには合コンが持つ様々な呪縛を理解しつつもセレンディピティを求め、男女が集う。
話題はこのように、幾重にもフィルターをかけられ選びとられている。「あたりさわりのなさ」は、合コンにおける均衡を保つためであり〜 P43多くの合コンが会社や出身校を単位に行われているということは、実際に男女が対面する前にフィルタリングが行われているということだ。P50
つまり、誰もクチにはしないものの多くの制約があり、かつそれが極めて限定的であることを本書は明らかにする。
学生の場合には合コンをしてもその人のバックヤード的部分に齟齬が少ない。学歴+コミュニケーションがすべててあり、必ずしも経済力やアナザーフェイスは大きな問題ではない。
合コンがジェンダー・パフォーマンスの競演の場である以上、男女の出逢いは限りなく虚構に近い、ふだんの生活からは分断された空虚な舞台の上で、本体の自分とはかけ離れているかもしれない「女」や「男」を互いに装い、演じる。定められた役割を意識しながら自らを演出し、複数の基準が錯綜するなかで相手を見定めようとする。魅力そのものが何かわからなくなりながら、それでもなお、私たちは競争している。P100
適齢期になると結婚というものが視野に入り、合コン自体の矛盾を露呈する。簡単に言うとある種の幻想を打ち砕く結果(気が合うと思ったら貧乏とか、カネありそうと思ったら性格が悪い、デートしたら違う等)になる。むしろそれらは合コンで見えない顔の方がむしろ重要であるという点なのにそこには目をつぶる。
合コンではみな不文律のルールのもと仮面を被った舞踏会が行われる。仮面の下から漏れる内面を類推し、仮面をはずしたときのギャップを受け止める必要がある。
セレンディピティをその都度期待するが、ドラマチックストーリーは起こらず・・・その場を楽しむものと合コンから降りる者、降りるに降りられない者に分かつ。「次こそは!」
「ぶっちゃけ合コンって難しいね・・・」
本書ではそれに対する有効なアプローチは示されていない。とはいえ課題は十分に示されている。そういうことを考える人に有効な一冊であることは間違いない。
合コンに対する厳しい見解を本書では考察するが、それでもなお「紹介」だろうと「偶然の食事」であろうと現在、恋愛の重要なチャネルになっていることは異論のないところ。
だからこそ一つの出逢いは大事にしなければいけないと思う。それは異性に限らず言えることだけれど。