2008年02月26日
フリーランスのジタバタな舞台裏(書評・感想)
- 第一章 会社を辞めたのだ
- 第二章 火だるまゴロゴロ
- 第三章 隠居生活のはじまり
- 第四章 自由は冷や汗とともにある
- 第五章 バーゲンセール、捨てる神ありゃ拾う神
- 第六章 自分色のヨロコビ
- 第七章 アリの一念岩をも徹せ
- 第八章 じわりじわり
- 第九章 寝れないんだもん関係ねぇや
- 第十章 うれしいお知らせ
- 第十一章 社長の苦悩とキャバクラと
- 第十二章 快・進・撃
- 第十三章 二年目に出た結論
- 第十四章 時給とのタタカイ
- 第十五章 十年振りの再会
- 第十六章 自由業は不自由業
- 第十七章 天井知知らずは空青く
- あとがき 〜子煩悩パパの幸せ〜
- 文庫版あとがき 〜その後のフリーランス暮らし〜
- 解説 よしたに
→フリーランスは総合芸術:404 blog Not Found
3年のデスマーチ生活を経てフリーランスライター/イラストレーターとして一本立ちに至るまでのドタバタぶりを書いて描いた一冊を、さらに文庫化したもの。
特段自分に大技があるわけではないが、「フリーランスになってみたらどうだろう?」と思う瞬間がある。知人でフリーランスになった人がいるけれども、いずれも大丈夫かなと思う人たちだけれどなんとかたちいっているようだ。
これでぽっかりと当面の予定はなくなってしまったのだった。P64
ここいらへんがサラリーマンと決定的に異なる。どんなグズでも出社さえすればよい。金銭の問題以上に予定がないというのはサラリーマンだったものには恐怖になりえる。
冷や汗をかくのもわかる。予定がない=お金がない未来が確定していくのだから。
この業界の仕事をするようになってから、どうもお金の話をしづらい風土があるように感じていた。お金の話をすると「え?なに?もし安かったらやんないの?」〜中略〜それでついついお金の話が後回しになって〜中略〜P60→blog50-1:非常識な成功法則
お金にこだわる=心が卑しい。お金にこだわらない=心が清らかP189
なんとなくそういう共通認識があって、仕入れが発生するものや原価がはっきりしているものなら見積もりも出せるが、ライターとかコンサルとか出来上がりがはっきりせず、仕入れがないものに価格をつけるのは難しい。言い値=価格だし、その根拠も実績を重ねない限りまったくない。
本書の肝は文章のうまさで本来の悲壮感みたいなものが漂わないところ。しかし、フリーランスになるにあたって必ずぶつかるであろう困難もきちんとに描かれている。
押し出しも弱く、饒舌でもなく、「WHY?」な人たちがフリーランスをしているけれども、もっとこうサラリーマン時代と違うスキルを見えてこない部分で身につけているのだろう。
サラリーマンを考えるに、1年半ほどは負傷・疾病による休職でも報酬の60%程度が保証されるようだ。しかし、小さな企業になるとそこまで休職を勘弁してもらえないからもうちょっと短いかも知れない。しかし、この期間をおいても「クビ」までは至らないケースが多く、「自主退職」を促すケースがもっとも多い。保証というにはココロもとないが、席を置くというのはそんなに難しくない。
筆者は妻に6ヶ月生活できる費用を貯めてからフリーランスにと言われているが、この期間は結構妥当な線だと思う。しかし、身重の妻を抱えて独立とはたいしたものだ。仕事がない、あてがない状態が何日も続くと「なるようになれ」の境地に行き着くまでしばらくかかる。
独立を考える人にリスクばかりを説明してしまうが、案外なんとかなるのかな・・・と思ったり思わなかったり。
フリーランスになった人もそれを考えている人も軽く読める一冊として常備したいものだ。組織にいながらにして独立した人間でいたいと思うけれども、まあそう甘くもないだろうな・・・と再認識。
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この記事へのコメント
今プータローで、実質書道家フリーランスの身としては
読むのが辛いかな?でも読んでみたい!
まずは立ち読みしてみます(笑
ITおやじさんのように社員の給料まで考えなければいけない人にはちょっと違うのかなとも思いますが飄々とした文章とイラストだけでも一見の価値があるかと思います。
絵がかけるといいですね。きたみさんのブログは一冊著書を読むともっと楽しめるかもしれませんね。