2009年08月28日
世界は分けてもわからない(福岡伸一著)&「うつ」は食べ物が原因だった!(溝口徹著)書評・感想
関係なさそうな分野の本を同時並行で読むとき、突如話がつながるときがある。それは自分の脳内だけでなく、明らかに本の内容が違っているような場合だ。

世界は分けてもわからない (講談社現代新書)と

「うつ」は食べ物が原因だった! (青春新書INTELLIGENCE)
を読む。

世界は分けてもわからない (講談社現代新書)と

「うつ」は食べ物が原因だった! (青春新書INTELLIGENCE)
を読む。
世界は分けてもわからない (講談社現代新書)は 生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)を書いた境界線の好きな福岡伸一氏の著作。
昔モノの最小単位は「分子と原子」と習ったけれども、実際は中性子があったり、電子が云々という話も聞いてモノをどんどん分けていくときりがないものだと思った。
流麗なエッセイに気をとられつつ、人間にとっての最大の境界線に触れられている。
「うつ」は食べ物が原因だった! (青春新書INTELLIGENCE)は経験者なら誰もが飛びつきたくなる話題だ。
クスリのメカニズムも十分に解明できないなかで(効いたからいいみたいな)食べ物なら身近だし、副作用もなさそうだし。
世界は分けてもわからない (講談社現代新書)では
思うに、「うつ」は、外観にほとんど症状がないから、癌とか肝硬変とかと異なり、言えば死体から読み取ることはできない。。「生」があって「うつ」がある。病巣というのが現在のところ読み取ることはできない。
脳自体に未知の部分が多く、それも脳だけの問題かはいまのところ微細過ぎてわからない部分なのだろう。
ただ、モノをたくさん知ればそれだけ「知らないこと」の多さを実感するように、追いかけてもキリがない部分のうちの一つ。明らかになってもそこでまた謎が発生するような感じがする。
「うつ」も「正常」との境界線が曖昧でなんらかのきっかけで改善にも向かうとも思う。そういう意味で副作用が少ない本書が福音をもたらすかも知れないし、そうではないかも知れない。「うつ」をある種の警鐘として受け入れられるかどうかとも関係があるし、病は気からの部分もある。生活習慣や遺伝、様々な因子があるようだし、複合要因を一つずつ取り除いていくもっと重要な方法が休養だとも聞く。
秋の夜長に心地よい 世界は分けてもわからない (講談社現代新書)を読みながら不透明な境界線や人間という曖昧性を受け入れるのもいいかなと思う。

世界は分けてもわからない (講談社現代新書)
著者:福岡伸一
販売元:講談社
発売日:2009-07-17
おすすめ度:
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「うつ」は食べ物が原因だった! (青春新書INTELLIGENCE)
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- プロローグ パドヴァ、2002年6月
- 第1章 ランゲルハンス島、1869年2月
- 第2章 ヴェネツィア、2002年6月
- 第3章 相模原、2008年6月
- 第4章 ES細胞とガン細胞
- 第5章 トランス・プランテーション
- 第6章 細胞のなかの墓場
- 第7章 脳のなかの古い水路
- 第8章 ニューヨーク州イサカ、1980年1月
- 第9章 細胞の指紋を求めて
- 第10章 スペクターの神業
- 第11章 天空の城に建築学のルールはいらない
- 第12章 治すすべのない病
- エピローグ かすみゆく星座
昔モノの最小単位は「分子と原子」と習ったけれども、実際は中性子があったり、電子が云々という話も聞いてモノをどんどん分けていくときりがないものだと思った。
流麗なエッセイに気をとられつつ、人間にとっての最大の境界線に触れられている。
誰が決めたのか、「臓器の移植に関する法律」は、脳死したものの身体は「死体」に含まれるとした。〜中略〜しかし、人が決める人の死は、生物学的死から離れて、どんどん前倒しされている。P144そういう考えもあるかと思う。臓器移植は「生」にだけ目を向ければ問題は少ないが(自分の)身近なこととして、前倒しを家族などの問題として「死」をとらえると線引きは難しい。
「量子力学の示す結論は、人間を宇宙の一部と見るか、宇宙を人間の一部と見るのかの分岐点を示す。思うに極微の世界では内の世界と外の世界の境界は曖昧になっているのだろう。 文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)P46唐突に思い出す。さわやかな秋風に風鈴がりんとなる。
「うつ」は食べ物が原因だった! (青春新書INTELLIGENCE)は経験者なら誰もが飛びつきたくなる話題だ。
クスリのメカニズムも十分に解明できないなかで(効いたからいいみたいな)食べ物なら身近だし、副作用もなさそうだし。
問題点があれば、それを解消する方向で栄養素による治療が行われるわけだ。P30そういってしまえば健康全般にはそうだろうし、関係しているかもとも思う。
うつ症状にとって、脳内物質は、まさに生命線である。食事とサプリメントの二本柱、栄養療法の両輪を稼動させることが大切だ。P100中でも本書では
- 低血糖症
- 鉄欠乏
- 亜鉛欠乏
- ビタミンB群欠乏
- たんぱく質欠乏
世界は分けてもわからない (講談社現代新書)では
グルタミン酸は、血液中をグルグル回って全身を巡る。しかし、脳の中には直接入っていかない。脳の中を通る血管の壁には特殊なバリアーあは張ってあり、血液中の物質、特にグルタミン酸のようなありふれたものが簡単に脳に入りこまないようになっている。P16と本書を読む限り「食べ物が原因だった!」と言い切るのは難しい。関係はあるんだろうけれども。
思うに、「うつ」は、外観にほとんど症状がないから、癌とか肝硬変とかと異なり、言えば死体から読み取ることはできない。。「生」があって「うつ」がある。病巣というのが現在のところ読み取ることはできない。
脳自体に未知の部分が多く、それも脳だけの問題かはいまのところ微細過ぎてわからない部分なのだろう。
ただ、モノをたくさん知ればそれだけ「知らないこと」の多さを実感するように、追いかけてもキリがない部分のうちの一つ。明らかになってもそこでまた謎が発生するような感じがする。
「うつ」も「正常」との境界線が曖昧でなんらかのきっかけで改善にも向かうとも思う。そういう意味で副作用が少ない本書が福音をもたらすかも知れないし、そうではないかも知れない。「うつ」をある種の警鐘として受け入れられるかどうかとも関係があるし、病は気からの部分もある。生活習慣や遺伝、様々な因子があるようだし、複合要因を一つずつ取り除いていくもっと重要な方法が休養だとも聞く。
秋の夜長に心地よい 世界は分けてもわからない (講談社現代新書)を読みながら不透明な境界線や人間という曖昧性を受け入れるのもいいかなと思う。


著者:福岡伸一
販売元:講談社
発売日:2009-07-17
おすすめ度:

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「うつ」は食べ物が原因だった! (青春新書INTELLIGENCE)
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