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2010年02月09日

経営の教科書(新将命著 書評・感想)

「最近おもしろい本はないか?」なんて経営者の方に聞かれることがある。

旬のビジネス書や小説をすすめることがある。

ところで、米国にはプロの経営者というのがいる。日本ではサラリーマンから経営者になるか、さもなくば創業者、その二代目の経営者しかいない。

MBAの取得に重きが置かれないのは、プロ経営者がいない、コンサルタントが職業として十分認知されていないからだろう。

といっても、MBAホルダーがよき経営者になる例も少ない。

経営者の方に無礼にも意見具申することがある。年代が違うだけにそれはおおむね受け入れられる。意見が実現するか否かはまた別として。

本を読むことと経営することというのは天と地ほど違うだろう。しかし、地があって天がある。だからこそこの本を経営者におすすめしたい。

経営の教科書―社長が押さえておくべき30の基礎科目
経営の教科書―社長が押さえておくべき30の基礎科目を読む。



経営というものに普遍性を見出すことは難しい。しかし、プロ経営者の著者がそのエッセンスを凝縮したのが本書だ。

えてして、具体的な方法ばかりを求める人が多い。

しかし、具体的過ぎると自社には合わないなんてことが多い。ゆえにエッセンスの応用というのが本を読む上で重要になる。
変わり身の早さ Agility P147
米国で経営を行った著者が、意思後の実行については日本企業の方が早いのではないかという。一方そこから撤退、変わり身が遅いという。
思いきった決断を妨げる一大障壁は「しがらみ」だろう。P157
サラリーマン経営者は従業員からのしがらみを顧客に対しても、社員に大してもしがらみを持っている。昇進や降格、顧客からの依頼に対し冷静な対処は難しい。しかしみなは救えない。撤退に関してもしがらみ(この商品は会長が開発したから)があるのだろう。
日本の企業は概して議論の場づくりを十分にしていないP181
社内でしか経験していないが、会議がへたくそだ。段取りから意思決定までビデオで確認して欲しいほど下手だ。

下記を会議するものの必読書としたい。


吉越式会議吉越式会議
著者:吉越 浩一郎
販売元:講談社
発売日:2009-12-01
おすすめ度:5.0
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「人間の耳にいちばん心地よく響く音は何か?」

これは有名な話であるが、自分の名前だそうだ。管理職になると、相手の姓や名前をあえて呼ぶことがある。

少しでもリスペクトの対象であれば、自分の名前を認識してくれていることのうれしいことだ。誰しも経験はあるが、実行している人はまだまだ少ないように思う。
「無用の学」の蓄積はさまざまな意思決定の場面で思いがけず、しかし間違いなく生きてくる。P271
「無用の学」は披露しすぎれば薀蓄野郎なんて呼ばれる。

しかし、ジャンルの違う本でも共通点を見出したり、ある知識が応用できる瞬間がある。何年も続ける必要はあるけれども、筋肉のように必要なときが出てくることがある。

仕事は細分化し、よりスペシャリスト的な知識が求められる。ではゼネラリスト的視点はサラリーマンには必要はないのだろうか?

現在求められるゼネラリストとは何でも知っている人ではない。おそらく、経営的視点から自分の仕事を見つめられる人のことではないだろうか。

そういう意味で、それこそ若いうちから本書のような本を読むことおすすめする。

役に立つかどうかはわからない。

「無用の学」そういった不確実性こそがあなたの幅を広げるかも知れない。

教科書の問題がそのまま試験に出るわけではない。現実はその応用にある。


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伝説の外資トップが説く リーダーの教科書
伝説の外資トップが説く リーダーの教科書
著者:新 将命
販売元:ランダムハウス講談社
発売日:2008-11-28
おすすめ度:5.0
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経営を見る眼 日々の仕事の意味を知るための経営入門経営を見る眼 日々の仕事の意味を知るための経営入門
著者:伊丹 敬之
販売元:東洋経済新報社
発売日:2007-06-29
おすすめ度:4.5
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