aamall

2011年10月07日

上司のあがき(ゲゲゲの編)

彼女は私と同時に異動してきた。こちらも仕事の全貌がわからない。

部下なので知らぬというわけにもいかぬ。

学歴はいいらしい。

蚊の鳴く声で挨拶し、知らないうちに帰っていく。

彼女にはひそかにあだ名をつけた。
「ゲゲゲの・・・」

女房としなかったのは、松下某をイメージされては困るからだ。 「ゲゲゲの・・・」水木しげるの描く一般人の様相だったからだ。

 仄暗い水の底から・・・そんなさみしげな・・・・
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はじめて来た建物だから緊張していたかも知れぬ。チェックする書類は突合せの資料を添付しない。早々と仕事は済ますが気がつくと寝ている。独断専行で相談せずに勝手に仕事をすすめ、煮詰まる。エクセルの式は壊す。

能力は低くない。ほうれんそうが苦手なのだ。

「きっとこれまで上司に恵まれなかったのだ」「相談すべき上司に自分でなんとかしてくれといわれ続けたのではないか」「突合せする書類がなくてもメクラ判を押していたのではないか」

 しゃべらない彼女に注意していいものか?話のできそうな同じ世代の女性もいない。 「私がなぜこの部署にきたのかわからない・・・」そんなセリフを聞いた。

いやその仄暗い・・・コミュ力不足は・・・客前に出すのは・・・数ヶ月を経て喉に出掛かった言葉を飲み込む。

 違う部署からの評価はもっぱら低い。

「やつ(ゲゲゲの)は挨拶もせず入ってきていつの間にか出て行く」・・・上司から書類を受け取るときもベテランガードよろしくノールックで受け取る。 返事もしたりしなかったり。

もう3ヶ月・・・彼女なら一番熱い時期・・・夏のかかり暑い日・・・薄ら寒い彼女の対応。

前任の上司によるまずまずの評価。 いや・・・正味・・・通常若い女子の来る部署ではない。そうかまずまずの評価は評価者の問題か。

日々の行動をどう変えたら彼女の評価が上がるのか。注意してもそうはなおらない。

片手で書類を受け取り、挨拶はしているのかしていないのか。目につく、鼻につく。

 気になれば、好きじゃないのに、目が行くの

  踏ん切りをつけた。意を決する。たまたま二人。怒るのではなく。

「あなたの為とは言わない。しかし何度か注意したことが守られないとあなたの評価が下がるばかりでなく、上司である私、また私の上司の評価も下がる。これから言うことを守って欲しいと思う。守れなくても何も言わない。それは悲しいことだけれども仕方がない。これを見てください。」
  • 人に声をかけられたときはその人の方を見て返事をする
  • モノを受け取るときは両手で受け取る
  • 他部署に入るときは相手の聞こえる声で挨拶をする。聞こえてはじめて入る
  • イレギュラーな事象は必ず上司に報告する
  • 書類のチェックを求めるときは資料を添付する
  • 寝ない 寝るならヤフーでも見る
  • 朝と帰宅の挨拶は別の島の人にもする
「別の島の人にも挨拶するんですか?」不思議顔でゲゲゲは言う。

「そうです」

その直後からぎこちない手つきだが、両手で書類を受け取る。別の島に帰宅の挨拶をする。書類の添付を忘れることはあるけれども、おおむね。まだ報告は十分ではないけれど、すべてを自分で解決しようとはしなくなった。ミスが見つかったときは「ほんとにありがとうございました」と言う。

 彼女はできないのではない。知らないだけなのだ。それまでの上司はそこを求めてこなかった。

「なんか昨日から挨拶に来るようになった」別島の上司が言う。 「彼女も笑うことがあるんだな」ある役員が言う。(異動する前に見たときあまりの暗さにパンチがあり覚えていたそうだ)

 微妙だけれども明るい兆し。 若者の失礼は、決して本人だけに責任はない。 こんなことを言うのは・・・逡巡した・・・決して彼女は私のことは好きではないだろう。

しかし、私の上司もたしかな前進を感じている。 それ以後、注意することは少ない。注意される前に報告するから。そして寝なくなった。 環境に慣れただけかも知れぬ。お願いが効いたのかもかも知れない。わからない。

でも少し笑うようになったし、私の上司との関係もよくなってきた。


はじめての課長の教科書
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あがくべきは上司であると思う。特に若い世代とのギャップや違和感に歩み寄るのは上の世代であると。




blog49 at 00:01│Comments(0)TrackBack(0)clip!昇進 昇格 

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